
前景のPOPな芝生と、後景のCLASSICな建物の組合わせで、鮮やかに写真映え。
東大寺大仏殿は、世界最大の木造建築物。

その中におわす、奈良の大仏の大きさには更に度肝を抜かれる。
老若男女そろって「大きい!」とついつい声をあげてしまう、万人を驚かす存在感。
背中にゴールドを、手の平にお花をまとったお姿には、ただ首を垂れてしまう。

強引に押し寄せるのではなく、内面を陥落させてくるような攻められ方。
大仏は王道、周辺の装備品はオシャレ、正面と側面を突かれ僕は白旗を上げる。

古都・奈良の魅力を、若すぎて受け入れられないだろう修学旅行生たちも、
この奈良の大仏の大きさだけはストレートに感じているようだ。

肉眼で見ると、近くにいても遠くにいらっしゃるような大仏様、
その表情から心の動きが読み取れない。

一昔前と違うのは、外国人訪問者が急増しているところ。
台湾・中国・韓国からの方とお見受けする。

大仏殿の奥には、通ると願いが叶うという穴がある。
みんなが通る時の摩擦で、木がツルツル!
奈良の大仏の鼻の穴と同じ大きさだとか。

僕はこの東大寺に、奈良に、和様化した仏教文化の美を感じている。
仏教発祥地のインドとも、伝承の経由地・中国や韓国とも違う仏教文化。

日本人らしく、妙に手が込んでいて、そのくせアピールが弱く、でも美だけは隠せない。
その美しさを見つける旅に出て長年が経ったが、やはり奈良にある日本の美は本物。

先人からバトンを受け継ぎ続けてきた日本人の歴史を誇りに思う。
各地のお寺に文化が生きているが、そのお寺文化の最高峰のひとつが東大寺。

東大寺の表玄関・南大門の左右を守るのは、
高名な仏師、運慶・快慶が創り上げた国宝・阿吽金剛力士像。
この威圧からも、東大寺の別格ぶりが伝わってくる。

南大門自体がもう国宝なのに、加えて国宝の仏像を置くとは。
悪を寄せ付けない結界としては究極のものだろう。

東大寺こそが日本の仏教文化のトップ、そして奈良時代の日本の美を今も継承している場所。
この東大寺の写真にそれを表現できているかな、気がかりなことだ。
もうひとつ、東大寺・万燈供養会の美を忘れてはいけないね。
写真の転用は、どうぞご自由に。