小説「愛日常」
仲間作り




「いいわね!」

驚いたことに、真っ先に口を開いたのは四季だった。

見ると目が輝いている。意外な展開に僕は戸惑った。

こんな土臭い誘いに、彼女のような都会的な女性が

乗ってくるとは思わないからだ。

「それはいいわよ!」

彼女ははっきりした口調で繰り返した。

意外だったのは僕だけではないようだ。

隣の慶もそして少女も驚いたように四季を見つめている。


「私は賛成。私も仲間に入りたい。ねぇ、美夜ちゃん、私も一緒してもいい?」

美夜と呼ばれた少女は疑うような目を向ける。

「いいけど、逆に本当にいいの?」

「賛成。やりたい。一緒にやろうよ」

やっぱり同じ返事だ。

「良かった!わたし、一人でどうしようかと思ってたとこだったから!」

そう言って少女も笑った。それ以上に喜んだのは僕だった。

慶に続いて仲間が二人も増えたようだ。四人もいればきっと何かできる。


その反面で警戒もした。

こんなに上手くゆくわけがない。何でだ。

どうしてこの人たちは、互いに初対面なのに仲間になろうとしているのだろう。

理解できない。理解できないから聞いてみよう。

「みなさん物好きな人だね、」

そこまで言ったら自然と笑みがこぼれた。真面目に言おうと思っていたのに。

「変わった人たちだ」

慶が言ってやはり笑った。

「本当」


女性と少女も互いに見合いながら笑って頷く。

この時、四人の距離は一気に縮まったのだと思う。

変わり者であることを誰も否定しなかった。

どうやら心配はいらないようだ。

僕は僕で目的があって言い出したことだが、

きっとみんなもそれぞれで自分の目的があるのだろう。

だからこれでいいんだ。変な風にも思えるけど、多分これでいいんだよ。


「僕は昭です。彼は慶。

あまり個人的なことは聞かないけど、名前ぐらいは教えて」

「私は四季です」

彼女は礼儀正しく頭を下げた。

「美夜子です」

少女も名乗る。今は名前だけ分かっていればいい。純粋にそう思う。

それよりもみんなの動機が知りたい。

でもそれはまず僕から言い出すべきだろうな。

自分の本心を口にするのは抵抗あるけど、もう一度言ってしまったことだし、

自分から誘った話だからちゃんと言っておかないのも無責任か。



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