小説「変身願望の女」6話

最高の愛




美香からのメール。

ようやく来たか、いつかはこの時が来るって分かっていたけど、

来るときは当たり前に突然で、予告もなくその時が訪れたようだ。


僕なりの最高の愛を、美香へ。

帰る場所はあるよ、いつでも帰ってこればいいさ。

今更、美香以外の女性と永遠を迎えるなんて考えられないから。



ただし、これは美香には決して言えないけど、誰にともなく告白すれば、

この半年で僕の方も変身する準備を整えていたんだ。

一人の女と一生を共にするための、男の方の準備っていったら、決まっているじゃないか。

言い方はストレートだけど、女遊び、飽きるまでの女遊び。


僕も変身しなくちゃいけないと思っていたんだ、

美香に惚れて、惚れて、心から惚れていた自分。

世に女性は数あれど、美香ほど僕の心を深く掴んでくれた人はいなくて、

一生を共にするなら、生涯抱き続けていくなら美香しかない、って思っているのは本当のこと。

ただその前に、自分の心を落ち着けておかないといけない。

そうでなくちゃ、長く続くその後の美香との生活で、歪みが出てしまうと思ったから。



美香が自分を好きになるために変身するというなら、僕も変身しないといけない。

だから、この半年間、僕は幾人もの女性と遊んで、抱いたよ。

やはり本気になれるようないい女はいなかった。

美香ほど僕の心を捉えて離さない女性はいないことが、よく分かった。

こんなこと、美香に伝えても分かってもらえないし、逆に嫌われてしまうよね。

だから誰にも言えず、こうして独り言を呟いている。

美香が腹を決めて僕のところに来てくれるなら、もちろん僕も腹を決める。

関係を持っていう女性たちとは、きれいさっぱり別れるし、連絡先も消す。

この半年のお陰で、もう他の女たちに興味はないから、今からは美香だけに集中できる。





これが僕にできる精一杯の美香への愛情。

こうした歪んだ形の愛情もある。

男同士なら分かりあえる人もいるだろうか。

美香には一生黙って墓に持って行くことになる、この半年間の出来事。

僕なりの約束として、他の女性たちを抱いていたことは、美香には一切分からせない。

それが美香に対する僕の愛情の現れだなんて、これも美香には理解できないだろうな。

何もなかったかのように、僕はこれから美香と一生付き合っていくだろう。

それから僕が美香にこの半年で何をしていたのか、聞くことはない。

この半年間、お互いやってきたことはきっとお互い理解できないと思うけど、

お互いの最終ゴールがお互いと一生過ごすための準備期間なのでしょう。



どうもヘンなお話。

でも、美香に対する本気の愛情が成した僕のこの半年間の秘密、きっといつか実を結ぶだろう。

僕なりの最高の愛を、美香へ。




「変身願望の女」 完


この実話の依頼主 美香さんのコメント




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