小説「メェルヵレシ」

メェルヵレシ




「メェルだけのヵレシwぼしゅぅ〜↑↑」


そう掲示板にカキコしたらいっぱいレスがきた。

会おう会おうって言わない人。

えっちぃことばっかり書かない人。

そういう条件付けておいたのにヘンなメールが一杯きたよ。


「写メ送って」とか「どうせブスだから会えないんだろ」とか「5でどう?」とか。

ホント、ロクなヤツがいなかったけど、分かってくれる人もいたからそういう人とだけメールを続けた。


一人暮らしのさみしい部屋に帰っても、メールだけは優しい言葉で迎えてくれる。

いつもご飯もお風呂も後回しにして、真っ先にパソコンを立ち上げてる。

「ただいま、京ちゃん♪」

「おかえり、ゆみかちゃん!今日もカワィィね〜☆」

優しい言葉のキャッチボール。

顔も知らないけど、それなりに心は満たされる。

なんかちょっと嬉しくなって眠るあっという間の夜。


休日の朝。起きたら顔も洗わずすぐにメールを開く。

また色々な人からメールきてる。良かった。

「コンニチワ。ゆみかちゃん、ご機嫌いかがですか?」

「あは。ケンくんってカワィイ〜♪」

返信したらまた返事が来た。

結局午前中ずっとメールしてた。

天気が良かったら買い物にでも出かけようとしてたのに。





――でも。

わたし、何してるんだろう。

何を愛そうとしているんだろう。

形のないひたむきなものを求めている。

それは、思い出のなかのあの眩しい恋。

喧嘩別れしてしまった大切な人。


今はカワイイ彼女もできたっていうあの人にはもう二度と逢えないから。

形を他のオトコに求めて、ムリヤリ自分のキモチを整理しようとしている。


いまさらだよ。もう遅いから。

でも、あの思い出を愛する気持ちがやめられない・・・・・・。

あんなに真っ直ぐ愛し合った人はいなかった。

――わたし、何を愛そうとしているんだろう。

こんなヘンなメールばっかりして。

新しい恋がどうしてできないんだろう。

キーボードを叩く指を止めると、外の雨音が聴こえてきた。



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