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未知の世界 小説「変身願望の女」3話

投稿日:2010年3月10日 更新日:




それから私の冒険が始まった。

今まで自分一人じゃできなかったこと、できないと思い込んでいたことに挑戦する冒険の旅なの。

あえて苦手分野に自分を追い込むなんて、

ドSの自分と、ドMの自分を両方演じなくちゃいけないから大変よ。

一日ひとつづつ、目標をつくって実行しようと思った。

平日は些細なことから。

一日一冊本を読むとか、映画を一本見るとか。

冒険最初の週末は、見知らぬところに一人旅をすることにした。

早朝から車を走らせて、伊勢神宮に向かう私。

全然行ったことないところだよ、やっぱり神様とお話するのが好きだから、私。

日本で一番有名な神宮に行きたいって、すごく自然な願望。

おかげ横丁を歩いて、内宮へと向かう。

他のみんなは家族やグループで歩いているのに、私はひとりぼっち。

今回の目的は、別に孤独に酔いしれることじゃないから、

私は伊勢神宮のキレイなものを探す。

深い森に包まれた伊勢神宮、巨木がキレイ。

それから、庭園がキレイ。

神宮らしく、紙垂と砂利がキレイなのよ。

私は夢中になって、キレイなものを探しては、カメラに収めていた。

いつの間にか、雑念が消え去って、私は伊勢の神様との会話に入る。

「あのね、伊勢の神宮さま。あなたがこんなに人気者なのは何故?」

「それから、キレイなものを一杯お持ちだけど、どうして?」

あれだけ有名な伊勢神宮なのに、シンプルっていうか、簡素・質素な作り。

そのくせ、次から次へと人々が参拝していき、景色にキレイなものがある。

これ全部が何だろう、って私には謎々のよう。

「飾らず、ありのままのあなただから、人気者ってこと?」

「キレイなものをみんなに見せることが、あなたの喜び?」

その次の週末は、ライブに行ってみようと思った。

映画館にあったフリーペーパーを読んでいたら、

「いきものがかり」っていうミュージシャンが神戸でライブするってあったから、

私は勇気を振り絞ろうと思った。

それまで全然興味なかったのよ、ライブなんて。

だけど、関心がなかったものに、あえて冒険してみるのが今の私だから、

すぐにチケット確保に走っていた。

もうびっくり。

ライブ開始前はみんな席に座っていたのに、ミュージシャンたちが出てきたら、

一斉に立ち上がって大盛り上がり。

どこで立つとか、座るとか全然分からなかったし、

手を振るタイミングもちょっとついていけなかったし。

でも強烈だったのは、いきものがかりさんの楽曲のメッセージ性。

「夢見台」を演奏してくれたんだけど、歌詞に引き込まれていたよ、私。

「変わらず歩ける」って、最初の言葉でドキッ、っとしたもん。

「失くした自分の行方を探してる」「失敗していい」っていう言葉が

胸に突き刺さるようでした。

あまりにインパクトが強かったから、翌日はCD屋さんで

いきものがかりさんのCDを買いこんでみた。

ライブで聴いた「夢見台」の歌詞をじっくり読んで、やっぱりこの曲って、

私のことを歌っているんだ?って思ったぐらいだよ。

それから、「なくもんか」という曲の、

「ひょっとしたら皆ひとりぼっちで歩いているんじゃないかな」という歌詞に、また驚き。

曲の最初から、そんな疑問投げかけられたら、私泣きながら頷いちゃう。

「失敗も裏切りも嫌なニュースも、ごちゃまぜに胸ふさいで見えないふりしたってさ、

そりゃ生きていけるけど、でも僕はまだ逃げたくはないんだ」

ドキッ、としてばっかり。

私の応援ソングができたって、すごく嬉しかった。

こんな出逢いもあるのね、って何度も歌詞カードを読み返しては、

自分のことに当てはめて考えてみると、なんだか示唆的なことばかり。

一曲一曲、よく噛み締めて、自分の生きる糧に、自分のモノにしてしまおう。

ライブっていう未知の世界に飛び込んだら、

こんなに新しいものが私の目の前に開けた感じ。







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