なんでもありの世界

張飛の妻、13-14才の夏侯氏は年の差ありすぎの嫁?

数字で見る「張飛の妻」問題のこと。

西暦 200 平均寿命 約25歳 13歳は人生の52%
西暦2000 平均寿命 約80歳 13歳は人生の16%

なんということだ・・・。

30歳過ぎの張飛が、当時13-14歳だった夏侯氏をさらって妻にしたというロリコン伝説。

現代の感覚からすれば年の差ヘンタイ男・張飛だが、婚姻ということであれば、夏侯氏は通常だ。

むしろ、平均寿命25歳のところ30歳まで育った張飛は、現代の感覚では60歳ぐらいか。

日本で平均寿命が30歳になるのは安土桃山時代(1550年頃)だ。

30歳にして初老、もちろん肉体は動くのだろうが、若くはない。

初老の実力者が、若い盛りの女を妻にする。

割と、普通のことだな。

「若目のおじさんが、幼い女の子をモノにする」というおぞましい張飛ロリコン説は、時代背景を踏まえていない。

「初老のおじさんが、若い女を嫁にする」という割合世界のどこにでもある説こそ、冷静な事実だった。

政略結婚とはいえ、約45歳の劉備は、約15歳の孫尚香と夫婦になっている。

呂布が董卓の元で名を上げ、架空の美女(きっと10代後半のイメージ)・貂蝉とラブに落ちたという設定を考えれば、

張飛ロリコン説は打ち消されても良いでしょう。

豪腕・乱暴者・不細工・パワハラのイメージが強い張飛だから、

そこにロリコンというちょっと意外な、あるいは意外でもない要素が加わり、

面白おかしく現代に言いふらされている、というレベルだね。

張飛の妻、三国志

私、まだ14才だった。

よく知らない大人たちの山砦に入ることは怖かったし、
生活が安定したと思ったらすぐに曹操軍10万人に囲まれて
汝南から逃げることも怖かったけど、 私のことを守ってくれるあの人・張飛を本物だと感じた。

あの淮南の紀霊将軍を討ち取った武勇も聞いたし、
汝南に散らばる黄巾賊の残党たちから英雄視されているのを自分の目でも見た。

張飛が並みの男でないことは、すぐに分かっていた。

そうした豪傑、万人を統べるべき武人が、私には一対一で向き合ってくれる。

嬉しいことだった。

それはね、趙雲・関羽ともっといい男は周りにいたけど、
巡り逢ってしまった運命と割り切るしかない。

新野から江陵へと逃げる時、長坂で曹操軍に追い付かれた時の恐怖は最大だった。

糜兄弟が率いる護衛隊はあっという間に破られ、
義姉の糜夫人・甘夫人とも離れ離れ。

趙雲の単騎駆け、長坂橋での夫の豪腕ぶりに劉備軍も私たちも救われたけど、
あんな怖さ、まったく耐えられるものではなかったの。

私だけを守るために夫を私の周りに縛り付けることもできないし、
けど怖いものは怖いし。

それからは荊州から益州を得て、
蜀漢に根を張ると劉備軍も夫もますます巨大化していった。

もう西蜀に不可欠な存在として、右将軍だの車騎将軍だのご立派な官職がついた。

私に対しては昔と変わらずピュアな大男としての夫・張飛。

彼が部下に殺されるまでの21年間、
私との夫婦関係は凸凹あまりなく、割合平穏だったかな。


「ねえ、あなたはつい最近まで魏の征蜀護軍だった人だけど、
私の族兄でもあるのよね?」

張飛の妻は、蜀漢に投降してきた夏侯覇にそう話しかけた。

「あなただけには話しておきたかったの、

張飛の妻としての私の人生はそんな感じだった」

うつむいて、夏侯覇は短く言葉をつなげた。

「魏の名門夏侯一族でいて、宿敵の蜀漢の五虎大将軍のひとり・張飛益徳の妻。
数奇な運命ですね、あなたは。
まぁ、今の私もあなたのことを変わり者と言えない立場ですが」

張飛の妻と、蜀漢に亡命した後に地位を得た元・魏の親族の会話。